プロジェクト概要


ビッグデータの継続的な収集蓄積とその解析は,様々な社会上の問題解決の強力なツールとなりつつあります. 一方個 人情報を含むビッグデータは,プライバシの保護の問題のために,現状では十分な利活用されているとは 言えません.
近年,複数の情報源から得たデータによるデータ解析において, お互いにデータを秘密にした. ままデータ解析を可能にする秘密計算の技術が発展し, プライバシ保護とデータ解析の両立が可能になり つつあります. このプロジェクトでは個人情報が常に暗号化されたまま復号せずにデータ解析することでプライバシを保護するプライバシ保護データ収集・解析基盤の開発を目的としています. さらに,これまでの 秘密計算で配慮されてこなかった,以下の二つの問題意識を出発点とした技術の開発を行います.

(1)現状の秘密計算は, 「データを外部に見せずに計算する技術」は充実していますが, 「データが外部に 漏洩した時に被害を抑える技術」はあまり検討されていません. 現実的には, ヒューマンエラーや内部 犯行など運用上の問題が起こりえないシステムを構築することは不可能であると割り切り,大量の個 人情報を蓄積・活用するサービスでは,「データ漏洩は防ぐことができない」と認識します

(2)個人にとって, 個人情報の利用に対する許容度は各個人で異なり, 一定のプライバシ保護基準によっ て万人に安心感や納得感を与えることは困難です. 個人情報を利用した個別化サービスが広く普及し た現代においては, 個人情報が収集されること自体が問題なのではなく, 収集されたデータがどう利 用され, 後々に他にどう影響するかが管理できなくなってしまう点に問題があると認識します.

このような認識の下, 本プロジェクトでは, 自己情報コントロールを保証した暗号系によるプライバシ保護データの収集と解析のための計算基盤を構築します. 自己情報コントロールの保証とは, 「データを外部に 見せない」ことのみをもってプライバシの問題を解決するのではなく, 「個人毎に」「後からいつでも」「誰 のデータを解析できるのか」「誰がデータを解析できるのか」「いつからいつまでデータを解析できるのか」 「データはどんな経路で流通するのか」といった要件がコントロール可能であることを加えて保証するこ とで, プライバシの問題を解決するアプローチです.
また本プロジェクトでは,「究極の個人情報」 と呼ばれる個人ゲノムを提案基盤の中核的な応用領域と定め, 基盤技術構築と個別化医療・ゲノム疫学に おける実証応用を同時に推進します.